STEP8.性能家づくりの知識

ZEHだけじゃ足りない?断熱性能等級6以上を選ぶ理由とその価値

はじめに

家づくりを検討している方のなかには、「ZEH(ゼロエネルギー住宅)」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。エネルギー消費量を大幅に抑えて環境負荷を低減する、国策としても推奨されてきた住宅概念です。しかし、近年「ZEH水準でもまだ十分とは言えないのでは?」という声が上がり始めています。

背景には、国の基準見直しや、断熱性能等級6以上を確保する流れが急速に進んでいることが挙げられます。本記事では、ZEHと断熱性能等級の違いや、等級6以上を目指すことがどのようなメリットをもたらすかなどを深掘りしていきます。光熱費の削減や暮らしの健康、そして将来の資産価値まで、より快適な住まいを手に入れるためのヒントをお届けします。


1.そもそもZEHとは何か

1-1.ZEHの基本コンセプト

ZEHとは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略称です。断熱性や省エネ設備を高めることで、家の年間一次エネルギー消費量を大幅に削減し、太陽光発電などの再生可能エネルギーを組み合わせることで、実質的にエネルギー消費をプラスマイナスゼロにする住宅を指します。

  • 国の目標:経済産業省や国土交通省が2020年代以降の普及を推進しており、新築住宅の高性能化を狙う。2025年度に断熱等級4を、2030年度に断熱等級5を義務化の予定です。
  • ZEHの要件(例)
    1. 断熱性能の一定基準以上(断熱等級5以上,Ua値≦0.6)
    2. 高効率設備(エコキュートや省エネエアコンなど)
    3. 太陽光発電システムなどの導入

1-2.ZEH基準の現状

ZEH達成には、断熱等級5相当以上を満たすことが前提となり、さらに外皮性能(UA値・ηA値)や一次エネルギー削減率が一定の水準に達している必要があります。ただし、この断熱性能水準は近年の住宅としては「最低限度」だと指摘する専門家も増えています。なぜならZEHはあくまでもエネルギー収支をゼロにするという概念であり、断熱性能に特化した指標ではないからです。


2.断熱性能等級とは何か

2-1.住宅性能表示制度における断熱等級

住宅性能表示制度(品確法に基づく制度)では、断熱や省エネ性能を数値化して評価する仕組みが整備されています。その中で「断熱性能等級」は、住宅の外皮(壁・窓・屋根など)の断熱性能を示す等級です。今までは「等級1〜4」が設定され、最近では新たに「等級5・等級6・等級7」が追加されました。

  • 等級4(旧省エネ基準相当):従来の省エネルギー基準を満たすレベル。
  • 等級5:さらに1ランク上の性能を目指す目標。いわゆるZEH水準。
  • 等級6・7:高い断熱性を重視する先進的な住宅向けの新しい区分(2022年に追加)。

2-2.UA値との関係

断熱等級を判断する際に用いられる指標が、UA値(外皮平均熱貫流率)です。建物全体の外壁や窓、屋根、床などからどれくらい熱が出入りするかを示し、数値が小さいほど断熱性能が高いとされます。

    • 等級4(従来基準)…UA値0.87〜0.46W/(㎡・K)程度(地域区分により異なる)
    • 等級6…UA値0.46〜0.34W/(㎡・K)程度(厳しい寒冷地ほど低いUA値を要求)

3.なぜZEH水準では不十分とされるのか

3-1.エネルギー収支と住環境の違い

ZEHはエネルギーをゼロにすることを目的としていますが、断熱性能自体は省エネ基準並みでも、太陽光発電などでエネルギーを相殺すればクリアできる場合があります。つまり、ZEH認定を受けていても、必ずしも極めて高い断熱性が確保されているわけではないことに注意が必要です。

  • 太陽光発電頼み:発電でエネルギー収支をプラスに持っていっているだけで、冬の室内が底冷えする可能性も。
  • 快適さや健康への影響:高い断熱性能を備えないと、部屋間の温度差や結露リスクが残る場合がある。

3-2.結露・健康リスクへの懸念

断熱性能が不十分だと、室内の暖かい空気と冷たい外気が接する壁や窓で結露が発生しやすくなります。結露はカビやダニの温床になり、喘息やアレルギーなど健康被害をもたらすことがある点も見逃せません。また、適切な温熱環境で生活が出来ないと体の冷えに繋がり、病気を引き起こしやすくなってしまいます。そういった意味でも断熱等級6以上の性能は外壁や窓の結露防止効果が格段に上がり、室温を一定に保ちやすくなるでしょう。

3-3.冷暖房費削減の可能性

ZEHは年間エネルギーの合計収支をゼロに近づける視点ですが、日常の冷暖房コストや光熱費は、断熱性能が高いほど下がりやすい傾向にあります。エネルギーを生み出す(発電)だけでなく、使う量を根本的に減らす(断熱性向上)が重要です。


4.断熱性能等級6以上を確保するメリット

4-1.光熱費の大幅削減

高性能断熱材やトリプルガラスなどを用いてUA値を0.34W/(㎡・K)以下に抑えるレベル(等級6以上)を実現すると、空調効率が飛躍的に向上し、冷暖房費の節約に直結します。

  • 試算例
    • 断熱等級4の家→年間冷暖房費(仮)20〜25万円
    • 断熱等級6の家→年間冷暖房費(仮)12〜15万円
    • (※地域・建物規模により変動。データ参照:一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)調べ)

4-2.居住空間の快適性アップ

部屋間の温度差が少なくなるため、ヒートショックリスクの低減や、冬場の底冷えを防ぎ、夏の冷房負担も軽くなります。家族全員が同じ空間にいても身体へのストレスが少なくなる点は大きなメリットと言えるでしょう。

4-3.健康への良い影響

室温が安定すると、喘息やアレルギーの原因となるダニやカビの繁殖を抑えられます。また、循環器系への負担が減り、高齢者や幼い子どもの体にも優しい住環境を作りやすくなります。イギリスや北欧では、住宅の断熱改修が健康診断の改善につながるという報告もあります。

4-4.将来的な資産価値

高断熱住宅は省エネ性能の高さや快適性が認められ、中古市場での評価が高い傾向があります。リフォームや売却を視野に入れるなら、断熱性能等級6以上を確保することで資産価値が下がりにくい利点があります。


5.具体的にどんな対策が必要か

5-1.高性能断熱材・窓を選ぶ

等級6を目指すには、壁・屋根・床下に高い断熱材を適切な厚みで施工し、かつ窓を複層ガラス(Low-E)やトリプルガラスにすることが不可欠です。サッシもアルミ樹脂複合オール樹脂が推奨されます。

  • ポイント:断熱材の材質(セルローズファイバー、硬質ウレタン、グラスウールなど)や施工方法にも注意。隙間なく設置する施工品質が重要。

5-2.気密性能の確保

断熱材だけでなく、気密性(C値)を高めることが大切です。隙間が多い家では、いくら断熱材を使っても空気が漏れ、暖房や冷房が外へ逃げてしまいます。気密測定を実施し、一定のC値以下であることを確認するのが望ましいでしょう。

5-3.換気システムとの組み合わせ

高い断熱・気密性能を実現すると、室内の空気が滞留しやすくなる一面もあります。そのため、計画的な換気システム(熱交換型や第1種換気など)と組み合わせることで、室内環境を清潔に保ちながらエネルギーロスを抑える設計が求められます。


6.お金の話:コスト増はどれくらい?

6-1.初期投資とランニングコスト

断熱性能等級6を目指すための設備・建材は、一般的なZEH基準よりもさらに高性能になるため、初期費用が数十万円〜百万円単位で上昇することがあります。しかし、光熱費の節約分や健康メリットを考慮すると、長期的には総支出が下がる可能性が高いです。

    • 等級4住宅→建築費2,500万円(標準)
    • 等級6住宅→建築費2,600〜2,700万円(高断熱サッシやトリプルガラスなど)
    • 光熱費の節約や補助金を含めれば10〜15年程度で差額回収できる場合も。

6-2.補助金や税制優遇

国や自治体では、省エネ性能の高い住宅を建てる際に、補助金減税制度を用意しているケースがあります。断熱リフォームに対しても補助が出ることがあるため、計画段階で情報収集しておくことが大切です。


7.断熱性能等級6以上がもたらす未来

7-1.暮らしやすい住空間

高い断熱性能は、光熱費の負担だけでなく、日常生活の質を大きく変えます。部屋ごとの温度差が少なくなるため、家族がどこにいても快適に過ごせ、ストレスや体調不良のリスクを抑えられます。

7-2.地球環境への貢献

省エネ住宅が増えるほど、CO2排出量の削減に寄与します。世界的に脱炭素の流れが加速している中、個人の住宅レベルでできる取り組みとして、高断熱化は非常に効果的です。

7-3.住宅の資産価値向上

将来的に売却や賃貸を考える場合でも、高い省エネ性能を備えた住宅は需要が高まると予想されます。国内でも認知が進めば、「断熱等級6以上の家だから買いたい」という購買意欲につながる可能性も十分に考えられます。


8.まとめ

「ZEHだから大丈夫」と思っていても、実は断熱性能をさらに高める余地が大いに残されています。ZEHはあくまでエネルギー収支の概念であり、必ずしも断熱等級が最高レベルというわけではありません。そこで注目したいのが断熱性能等級6以上の住まい。エネルギーロスを抑えながら快適性を引き上げ、健康リスクや光熱費も軽減できるなど、多方面にメリットがある選択肢です。

  • 高い断熱性能=投資価値
    • 初期コストが上がっても長期的に光熱費を削減し、健康な室内環境を実現しやすい。
  • 結露やカビの防止
    • 冬の寒さや夏の暑さに悩まされにくく、結果的に家の寿命も延びやすい。
  • 将来の資産価値向上
    • 省エネ性が求められる時代背景の中で、高性能住宅の評価は今後ますます高まる可能性大。

もしこれから家を建てる、あるいはリフォームを考える方は、ZEH水準だけでなく、断熱性能等級6以上を視野に入れて、施工会社や設計者と相談してみてください。より良い住環境づくりのヒントになれば幸いです。

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